「弱点」も癒やし要素

『世話やきキツネの仙狐さん』 第七尾、更新されました！
仙狐さんが家電と戦うお話です！https://t.co/Cb1NUGZCdN pic.twitter.com/BtcVdIryDr

— リムコロ🦊新連載『君のラブを見せてくれ！』 (@rimukoro) January 11, 2018

仙狐さんは神使の狐なので、人智を超えた「仙力」を使うことができます。
それによって空中に浮かんだり、狐火を照明代わりにしたり、壁をすり抜けたりと様々な力を披露します。

加えて、徹底した世話やきによる肉体的・精神的支援。
押しつけがましさなど一切なく、痒いところにピッタリ手が届く完璧さで中野くんを甘やかしています。

けれど、そんな仙狐さんにも弱点がない訳ではありません。

まず、機械全般が大の苦手。
掃除や洗濯は得意でも、掃除機や洗濯機の扱いには四苦八苦し、ゲームも得意ではないようです。

しかし苦手なものにも果敢にチャレンジするのが仙狐さん。
第七尾（第7話）ではそんな仙狐さんが様々な家電の操作に挑み、その後見事使えるようになりました。（余談ですが、その回はシャープの公式アカウントでも取り上げられていました）

現代の人間社会に関しても疎く、アニメも当初は知りませんでしたが、これらも中野くんや隣の部屋に住む高円寺安子（こうえんじ やすこ）などとの交流を通して、少しずつ見識を広げています。

中野くんよりも遥かに年上の仙狐さんですが、そんな彼女とて発展途上の身。
全てを完璧にこなせる訳ではないのです。

そして、だからこそ彼女は極上の癒やしを提供できる存在と言えます。

人間は誰しも完璧ではありません。
そして自分よりも凄い存在に対し、尊敬や羨望の感情だけでなく、嫉妬や劣等感を抱くものです。
もし仙狐さんが全てにおいて完璧だったとしたら、中野くんも読者も素直に癒やされる心境にはなれなかったでしょう。

弱点があるからこそ、仙狐さんの甘やかしスキルはより輝くのです。

「えっち」だから癒やされる

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2018年に『世話やきキツネの仙狐さん』コミックス2巻の発売記念として、ニコニコ静画で「甘やかしベスト決定戦！」という企画が実施されました。
第二尾で登場した「添い寝」、第五尾で描かれた「耳かき」、第十三話で繰り広げられた「マッサージ（踏むやつ）」のシーンをそれぞれピックアップし、それらの中で最も多くコメントを集めたシーンを作者のリムコロ先生が描き下ろしイラストで改めて発表する、という企画です。
つまり、どの甘やかしシチュエーションが最も支持されるかという「甘やかしシチュ人気投票」ですね。

この結果、最も多くのコメントが寄せられたのは「添い寝」でした。
やはり「実際にしてもらいたい」というシチュが最も人気が高いらしく、コメントにもそういった内容のものが散見されました。
より親愛の情を感じる甘やかしが人気みたいですね。

そういう意味では、この企画では対象外となりましたが第九尾で披露された「お背中流し」のシチュもかなり読者から支持されていると思われます。
何しろ仙狐さんが裸で背中を流してくれる上、一緒にお風呂に入ってくれるのですから。
これは男にとっては間違いなく夢のシチュエーションです。

しかしこの「一緒にお風呂に入る」というシチュは通常、癒やし系のマンガでは描かれません。
エロマンガやエロいシーンが人気のマンガでお馴染みのシチュですよね。
「お背中流し」「一緒にお風呂」といった言葉だけを見たら、「『世話やきキツネの仙狐さん』ってそっち系？」と思う人もきっといるでしょう。

でも、違うのです。

リムコロ先生はえっちなシチュやイラストを描くことには積極的ですが、本作においてエロいシチュで仙狐さんたちが描かれることはありません。
この「えっち」と「エロ」の間には大きな隔たりがあり、エロでは癒やしになりませんがえっちは癒やしになるのです。
具体的に言うと、表情の中に扇情的な要素を入れたり登場人物の心情が卑猥な方向に突き進んでいくのがエロいシチュで、そういった表現なしに水着やお風呂のシーンが描かれているのがえっちなシチュです。

仙狐さんが最高の癒やし効果を発揮しているのは、仙狐さんがエロではなくえっちに描かれているところが大きいですね。
例え裸になっていても、考えているのは常に「どうやって世話を焼くか」なので、表情・セリフ・行動全てがエロの方にはいかず、そんな雰囲気は微塵も感じさせません。
そのため、中野くんも仙狐さんに劣情を催すことなく癒やされているのです。

これも800歳の彼女だからこそ成立すること。
読者も「仙狐さんならそうなるよな」と納得できます。
通常、癒やし系のマンガで「一緒にお風呂」シチュにはどうしても性の匂いを感じるものですが、本作に限っては絵柄、設定、セリフ、感情描写など全てが噛み合って「癒やし」に繋がっています。

まとめ

春は新たな生活に身を投じる人が多く、特に新社会人や馴染みのない部署に異動となった人は、それまでと全然違う環境に疲れ切ってしまうもの。
上司から理不尽な要求をされたり、飲みに誘われて自分の時間が取れずストレスを溜め込んだりする人も多く、慣れないことの連続でヘロヘロになってしまう時期です。
そんな時に、甘やかし上手の仙狐さんの存在は極上の癒やしとなってくれるでしょう。

『世話やきキツネの仙狐さん』は春にピッタリのアニメなので、ぜひチェックしてみてください！