予想外の「バイオレンス」が爽快

出展 : （c） 清水茜／講談社・アニプレックス・davidproduction : TVアニメ『はたらく細胞』公式サイト | 各局にて毎週土曜日より絶賛放送中！

ここまでは『はたらく細胞』という作品そのものの人気の理由を語ってきましたが、ここでは本作のアニメが人気作となった理由について検証したいと思います。

「はたらく細胞」というタイトル、『もやしもん』や『ヘタリア』を想起させる全体コンセプト、そしてビジュアルのイメージから、原作を知らない人の多くは本作を当初「ほのぼの系アニメ」だと思っていたのではないでしょうか。
しかし実際には全く違います。
むしろこの作品は、バイオレンス要素満載のアクションバトルが各話で展開されています。

実際、人間の体内において細胞は様々なウイルスや細菌と戦っており、それを忠実に擬人化すればこうなって当然なのですが、そんな事情を知らずにアニメの第1話を観た人は、返り血を浴びて全身を赤く染めた白血球の姿に驚きを隠せず、強烈なインパクトを残す結果となったようです。
しかもアニメ版『はたらく細胞』は、鈴木健一監督がアクションシーンを得意としていることもあってバトルにかなり力を入れており、動きも迫力もバトルを主軸としたアニメと同等のレベル。
かなり爽快な仕上がりで、夏アニメに相応しい作品になっています。

また、バトルシーンがアニメ映えするもう一つの理由として、本作に登場する「肺炎球菌」「黄色ブドウ球菌」などの病原体がエイリアンのようないかにも「異形の敵」というデザインである点も無視できません。
これは『艦これ』の深海棲艦や『けものフレンズ』のセルリアンにも共通するところで、敵であることが一目でわかる上にバトルの際にいろんなギミックを用いることができるという、メリットだらけの手法です。

原作は比較的女性からの支持が厚いと言われている作品ですが、これらのバトル要素は男性に受けが良く、その結果アニメ『はたらく細胞』は男女問わず幅広い層に人気を集めています。

個性漲るキャラクター、そして「ロリ」

出展 : Amazon.co.jp

アニメ版の『はたらく細胞』が男性受けしている理由はもう一つあります。
それは血小板の存在です。

血小板は、赤血球や白血球よりもサイズ的に小さいことから、幼い子供の容姿で擬人化されています。
そのため、作中で描かれている彼らは「幼い子供が一生懸命がんばっている姿」であり、それが多くの視聴者（主に男）のハートを鷲掴みにしたようです。
身もフタもない言い方をするならば「ロリコンホイホイ」です。

血小板のリーダー格として描かれている長髪の女の子はEDにも登場し、既にグッズ化も行われています。
そして当然のように、どこも品薄。
恐らく今後も彼女のグッズは飛ぶように売れることでしょう。

もちろん、人気なのは血小板だけではありません。
細菌駆除の際にはバーサーカー状態となるものの普段は紳士的な白血球、方向音痴でポンコツ気味な赤血球、細菌に弱く周囲から白い目で見られながらも誇り高い姿を見せる好酸球、中二病的な発言しかしない好塩基球など、本作に登場するのは個性が漲る愛すべきキャラクターばかりです。

極論するならば、作品が受けるか否かはキャラの魅力次第というところもあります。
『はたらく細胞』は男女どちらにも受け入れられた名物キャラを生み出していて、それが大ヒットへと繋がったのでしょう。

そしてアニメが受け入れられている理由として、キャストの力も見逃せません。
赤血球の直向きさや狼狽えっぷりを見事に演じている花澤香菜（はなざわ かな）さん、イケメンボイスで白血球を更にカッコよくしている前野智昭（まえの ともあき）さんなど、まさに適材適所といった陣容。
『小林さんちのメイドラゴン』カンナ役など、今やロリキャラの第一人者となりつつある長縄まりあ（ながなわ まりあ）さんをリーダー格の血小板に据えたことも、勝因の一つと言えそうです。

まとめ

元々原作人気の高い作品だったので、アニメの成功自体は決して奇跡ではありませんが、大人気原作だからといって必ずしもアニメも成功するとは限らないのがこの世界。
そんな中、『ジョジョ』でシリーズディレクター、『DRIFTERS』で監督を務めヒットに貢献し、そして今回これまでと毛色が異なる作品でも成功を収めたことで、鈴木健一監督は今後かなり注目を集めそうですね！

公式PV

【はたらく細胞】血小板はなぜアニメで人気者になったのか？ 検証まとめ　#はたらく細胞

【はたらく細胞】BLACKから細菌までスピンオフシリーズをまとめてみた　#はたらく細胞