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Apr

【僕の心のヤバイやつ】アニメ放送開始! 他のラブコメとは何が違う?【僕ヤバ】


(画像引用 : Amazon)

ネット上で絶大な支持を集め、多くのファンを魅了し続けている人気ラブコメ『僕の心のヤバイやつ』のアニメがついにスタート!
そんな僕ヤバがどうしてここまで愛されているのか、他のラブコメと何が違うのか、その魅力について徹底検証します!

誌上から配信サイトへの移籍で成功

(画像引用 : 『僕の心のヤバイやつ』公式Twitter https://twitter.com/boku__yaba

『僕の心のヤバイやつ』の連載がスタートしたのは2018年3月
週刊少年チャンピオンで10年以上連載され、アニメ化も果たしたドタバタコメディ『みつどもえ』の作者・桜井のりお先生の新作という事で、当初から注目を集めていました。

ただ、同時にかなり異色の新連載でもありました。

実はこの僕ヤバが連載を始める5ヶ月前に、桜井先生はチャンピオン誌上で『ロロッロ!』の連載を始めたばかり。
当然完結はしていない為、2作品同時連載という事になります。
週刊連載、それも連載開始から間もない段階で新たな新連載を始めるケースは稀で、桜井先生のファンからも驚きの声があがっていました。

また内容についても、どちらかと言えばみつどもえ路線の『ロロッロ!』とは大きく異なるリアル志向のラブコメディ
桜井先生の従来の作風とは全く違う内容とあって、戸惑うファンもいたようです。

そんな僕ヤバですが、最初は現在のマンガクロスではなくチャンピオンでの連載でした。
4話目まで掲載した後、配信サイトのチャンピオンクロス(その後「Champion タップ!」と統合してマンガクロスに改名)に移籍し、以降はWeb漫画として連載されています。

本誌から配信サイトへの移籍は「左遷」と取られる事が多く、実際そのようなケースもありますが、この作品の場合は事情が全く異なります。
既に『ロロッロ!』を連載している事を考えると、最初だけチャンピオンで顔見せし、以降は無理のないペースで更新できるWeb漫画でやっていくという予定が最初から組まれていたと思われます。

結果的に、この形をとったのは大成功でした。

僕ヤバは移籍後すぐに話題となり、更新の度に大きな反響を呼んでトレンド入りを果たす話題作になっていきます。
その後もネットならではのスピード感で一気に広まり、連載開始から僅か数ヶ月で「今一番キてる漫画」というポジションにまで上り詰めました。

翌2019年には「次にくるマンガ大賞2019」「このマンガがすごい!2020」にノミネートされ、それぞれ5位と3位に入賞(次にくるマンガ大賞2020では1位)。
コミックスも1巻発売直後に重版され、あっという間にヒット作の仲間入りを果たしました。

そして2022年8月、ファン待望のアニメ化が決定。
2023年4月より放送が開始されました。

・『僕の心のヤバイやつ』累計発行部数推移

2019年09月 *20万部(2巻発売)
2019年12月 *30万部
2020年06月 *50万部(3巻発売)
2020年07月 *70万部
2021年02月 100万部(4巻発売)
2021年07月 120万部(5巻発売)
2021年10月 165万部
2022年01月 200万部(6巻発売)
2022年08月 230万部(7巻発売、アニメ化決定)
2022年12月 260万部
2023年03月 300万部(8巻発売)

「ツイヤバ」に見るネットの上手な活用術

https://twitter.com/lovely_pig328/status/1434470439095390213

(画像引用 : 『桜井のりお』公式Twitter https://twitter.com/lovely_pig328)

僕ヤバのWeb連載が大成功だったと断言できる理由の一つに、「ツイヤバ」の存在が挙げられます。

ツイヤバとは、桜井先生が御自身のTwitterアカウント上で不定期にアップしている1~4ページの漫画です。
これが、ファンと僕ヤバを繋ぐ大きな役目を果たしています。

Web漫画に限らず、Twitterをやっている漫画家の皆さんが連載作品のイラストを描いてアップするのは決して珍しくありません。
しかし漫画形式は比較的珍しく、それを更新と更新の間にほぼ毎回挟む頻度となれば、かなり稀。
僕ヤバは『ロロッロ!』と掛持ち連載していた頃は基本隔週ながら1ヶ月くらい空く事も多かったので、ツイヤバで僕ヤバ成分を補充できたおかげでストレスなく更新を待てた……というファンも多数いたと思われます。

また、ツイヤバは単なる箸休めのショート漫画という訳ではありません。
詳しい説明はないものの、明らかに本編の山田と市川より距離が近く、まるで恋人のようなやり取りをする事もあります。
その為、ファンの間では「これは付き合った後の話なのでは?」「別の世界線の話かも?」と様々な考察がなされていました。

この「全てを語らずファンに考えさせる余地を残す」というスタイルは、本編でも様々な形で活用されています。
そういった点も踏まえ、僕ヤバの他のラブコメ作品と違う部分、独自の魅力について検証していきます。

「変化」が生じる発展的ラブコメ


(画像引用 : Amazon)

僕ヤバの連載が始まった2018年頃は、『からかい上手の高木さん』のヒットを受けて『イジらないで、長瀞さん』『宇崎ちゃんは遊びたい!』『阿波連さんははかれない』など主人公1人に対しヒロイン1人の「一対一ラブコメ」が急激に増えていた時期。
僕ヤバもその時流に乗った漫画の一つというのが、連載開始当初の評価でした。
実際、陰キャ主人公とリア充ヒロインという組み合わせは、一対一ラブコメにおける主流の構成と言えます。

しかし、徐々に他のラブコメとの違いが出て来ます。

一対一のラブコメは多くの場合、主人公の男子がヒロインに振り回される日常を描くという、『高木さん』のフォーマットを踏まえています。
『高木さん』における「からかい」の部分を、「煽り」「天然ボケ」「エロ」などそれぞれの作風に沿った形で表現するという手法でパターン化し、話を組み立てて行くような感じですね。
その為、話が大きく動く事は殆どなく、ラブコメと日常モノのミックスのような作品が大半になっています。

それに対し、僕ヤバはかなりしっかりと恋愛モノとして描かれています。

本作のテーマとして掲げられているのは「距離」「変化」「気付き」ですが、最初に表れるテーマは「距離」です。
というのも、主人公の市川とヒロインの山田は、最初の数話においてはクラスメイトではあっても僅かしか会話しない、限りなく他人に近い間柄なのです。
それどころか、一話目の時点で市川は山田に対し「僕が今最も殺したい女だ」とまで思っています。

これは憎しみの感情ではなく、彼の「リア充を殺したいほど妬んでいる陰キャの極み」というキャラクター性の描写であって、学校一の美女でモデルもやっている山田と極端なほど対照的に描かれています。
一話目の時点で既に好感度MAX、若しくは一話の間に話し込んで距離が一気に縮まる一対一ラブコメが多い中、僕ヤバは非常に遠い距離からスタートし、暫くそのまま進行していきます。

つまり、ラブコメにおいて最も需要のある「主人公とヒロインの掛け合い」を最小限に留めているのです。
これは非常に勇気の要る入り方で、一つ間違えばメインの二人が仲良くなる前に不人気で連載終了となりかねません。
それくらい思い切った設定です。

そんな大胆に攻める姿勢でスタートした僕ヤバは、その後も二人が一気に距離を縮める訳ではなく、少しずつお互いを認識し、小さい接点の中でどういう人間なのかをわかり合い、そして惹かれ合っていきます。
日常を描いてはいるものの停滞した日常ではなく、常に変化が生じているのです。
これが、他の一対一ラブコメと大きく異なる点であり、僕ヤバの魅力の一つと言えます。

「気付き」をテーマにした繊細な描写

https://twitter.com/lovely_pig328/status/1642210148432347136

(画像引用 : 『桜井のりお』公式Twitter https://twitter.com/lovely_pig328)

「距離」「変化」以上に僕ヤバにおけるテーマ性の大きさを表しているのが、「気付き」です。
この作品は、非常に多くの「気付き」を仕掛けとして、そして作品の核として扱っています。

まず顕著なのがタイトルです。
本作のタイトル『僕の心のヤバイやつ』は桜井先生の一存でビシッと決まった訳ではなく、担当さんとの話し合いの中で決めていったそうです。
これが非常にギミックに富んだタイトルになっています。

前述したように、市川は当初山田を「殺したい」と思うほどヤバい奴として描かれています。
その為、一話を読んだ人の多くが「僕の心のヤバいやつ=市川の心の中にある猟奇的な衝動」と解釈した事でしょう。

しかし二話目の時点でそのような衝動はほぼなくなり、読者の中に「じゃあヤバいやつって一体何だ?」という疑問が芽生えていきます。
そして読み進めていく内に「僕の心のヤバいやつ=山田に対する恋なのか何なのかわからない感情」である事に気付くのです。

これ以外にも「表情」「視線の動き」「会話での間」など、様々な要素で各キャラの心情を伝えるような描き方がなされています。
基本コメディタッチの作風なので考察要素があるようには思えない作品ですが、実は非常に繊細な描写を行っていて、読み返す度に読者は新たな「気付き」を得る事が出来ます。

また、作中における各キャラの気付きも、この作品の特徴と言えます。

市川は自分の思いを他者に伝えるのが苦手ですが、些細な事に対して意味を見出す敏感な感性の持ち主
山田は逆で、感情を出す事に躊躇いはないけれど、ややガサツで距離感がカバカバ。
そんな二人がお互いの長所や、自分にない所、或いは誰も知らないような魅力に少しずつ気付いていくその積み重ねによって、想いを寄せ合っていくという構図になっています。

恋敵も「気付き」のきっかけ


(画像引用 : Amazon)

僕ヤバは市川と山田の恋愛を描いたラブコメディで、それ以外のカップルも一応登場しますが、その描写に関してはほとんど行われていません。
ただし、いわゆる「当て馬」的な存在はいます。
山田に対して好意を持つ男性陣です。

とはいえ、山田が彼等に対して心を動かされる事はありません。
こと恋愛に関しては、市川と山田のカップリングが絶対的なものとしてあり、不可侵領域になっています。

では、どうして当て馬となるようなキャラが描写されているのか。
それも偏に、市川と山田の「気付き」の為です。

お互いが好意を持っていても、それを伝える、或いは汲み取るのが苦手な二人ですから、中々恋人同士にはなれません。
しかも僕ヤバという作品は劇的なイベントがあって好きになるというドラマティックな展開はなく、逆に特に理由もないけど好きになるというご都合主義もない。
そういう心情の機微をリアルに描いたラブコメなので、当て馬の存在が自分の好意や相手の好意に気付くトリガーとして組み込まれています。

そういう意味では舞台装置としての役割が主な当て馬の男性陣ですが、彼等はそれだけのキャラではありません。
独自に魅力を持っていたり、市川にとって重要な人物であったり、僕ヤバという作品にとって必要な面々です。
実際、その中の一人は(ネタバレになるので名前は伏せますが)最大の見せ場の回でトレンド入りを果たしているほどです。

僕ヤバはあくまで恋愛がメインの作品ですが、登場するキャラクターそれぞれに強い人間性があり、その描写もこの作品の魅力の一つになっています。
そういう意味ではヒューマンドラマの要素も持っていると言えるかもしれません。

LOVE以外の関係性も大事に

https://twitter.com/bokuyaba_anime/status/1635928826525159425

(画像引用 : 『僕の心のヤバイやつ』TVアニメ公式Twitter https://twitter.com/bokuyaba_anime)

恋愛だけでなく人間性を描いている僕ヤバは、それに関連して人間関係の変化も描いています。
特に、市川の交友関係に関しては、恋愛と同じくらい力を入れている印象です。

市川は元々ぼっちではなく、同じく厨二病ぽいセンスを持つ旧友が何人かいます。
ただ彼等とは学校が離れて疎遠になり、中学生になってからは完全に孤立状態で、担任からも心配されていました。

そんな市川が山田に恋した事で、彼自身「変わりたい」と思うようになります。
斜に構え、世の中の出来事やリア充、陽キャといった面々を捻くれた視点で見ていた彼ですが、人を好きになる事を知ってからは相手の気持ちを推し量ったり、思いを汲んで感謝をしたりする機会も増えてきました。
ウザ絡みしてくるクラスメイトに対しても、気を遣ってくれている面に気付いて友情を感じるなど、人間的な成長を随所で感じさせます

特に、山田の友人の一人、関根萌子との関係性の変化は見所の一つです。
関根のギャルっぽい見た目から、心の中で「ビッチ」呼ばわりしていた市川ですが、彼女の兄が『リゼロ』のレム推しだと知って親近感を抱いたのか、認識を改めます。

その関根、市川と山田の関係にいち早く気付き、さり気なくフォローしたり気遣ったりと、見た目や喋り方に反して実はとても優しい女子。
市川に対して偏見を持つ事なく接し、ピンチの時に助けたりもしてくれる存在で、市川もそれに気付き、心を開いて山田への思いを素直に吐露します。
お互い学業面では優秀という共通点もある為、進路の相談までし合う仲になりました。

こういった市川の恋愛面以外の「変化」も、この作品の特徴の一つ。
何より、それによって市川が魅力的な主人公となり、ファンからも「イッチ」の愛称で親しまれています。
ラブコメはどうしても主人公の人気がイマイチなケースが多いのですが、僕ヤバはそういった事はありません。

これも他のラブコメとは一味違った点であり、大きな特徴と言えるでしょう。

まとめ

いよいよアニメが始まりましたね!
二人を長年追いかけて来た事もあって、感慨深いです。

山田の声を担当する羊宮妃那さんは『着せ恋』の心寿や『それでも歩は寄せてくる』の桜子を演じた方で、今注目されている若手声優の一人です。
この作品は囁く場面が結構多いため、ウィスパーボイスが特徴的な羊宮さんの長所が遺憾なく発揮されていて、良い感じです!

原作の繊細な部分をどう演出してくれるのかも楽しみですね!

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