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Jun

【聲の形】ひどい?気持ち悪い?誰が一番悪者なのか?考察してみた【ネタバレ】

(2023年1月13日加筆)

賛否両論のある作品は、非常に際どいテーマを設定していることが多いです。

非常に際どいテーマといえば、『聲の形』を思い出す人もいるのではないでしょうか。『聲の形』は聴覚障がい者やイジメをテーマにした作品で、その時点で賛否両論のある作品だという印象を抱いてしまいます。

そこで本記事では『聲の形』のアニメ映画を、批判的・賛同的、それぞれの視点で紹介していきます。そのため、作品のネタバレをすることもあるので、未視聴の人は注意してください。

 

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『聲の形』とは?

『聲の形』は『週刊少年マガジン』にて2013年から2014年まで連載されていた漫画が原作です。2017年に京都アニメーション制作で長編アニメーション映画が上映されます。

先ほども紹介した通り、聴覚障がい者やイジメをテーマにした作品なので、漫画が連載されている当初から批判的な意見がありました。それが長編アニメーション映画で公開され、しかも京アニ制作ということで一気に注目を集めるようになり、作品の内容に関する議論が活発になります。。

『聲の形』の批判的な意見 ※ネタバレ注意

『聲の形』の批判的な意見は以下の通りです。

・障がい者をテーマにするってどうなの?
・イジメの加害者が許されていいの?
・感動ポルノなのでは?

それぞれ解説していきます。

障がい者をテーマにするってどうなの?(聲の形・考察)

『聲の形』の批判的な意見の代表例が「障がい者をテーマにしたアニメって成立するの?」というものです。実際、『聲の形』の内容は見ていて気持ちのいいものではありません。見ていて辛い気持ちになったり気持ち悪くなったりすることもあるでしょう。何より、「アニメは楽しいものだ」という考えを持っている人も多いのが事実です。

そして論点になったのは、「障がい者を萌えキャラで描くことの必要性」についてです。『聲の形』のヒロインである西宮硝子が聴覚障がい者なのですが、非常に可愛らしいデザインで描かれているのです。ここで、「障がい者を萌えキャラで描くって倫理的にどうなの?」という意見が出るようになります。

この議論は正解も不正解もないと思いますが、『聲の形』は全日本ろうあ連盟の協力によって成立している映画です。聴覚障がい者の団体が『聲の形』の制作に協力しているのであれば、障がい者をテーマにすることに対して批判する必要はないのかもしれません。

イジメの加害者が許されていいの?(聲の形・考察)

『聲の形』の主人公である石田将也は、小学生の時にイジメをしており、その反動もあって自分がイジメられるようになります。しかし最終的には、将也にとってはハッピーエンドという形で、ストーリーが終了します。

そんなストーリーもあって、「イジメの加害者が許された」という印象を与えてしまいました。そこで「イジメの加害者が許されていいのか?」という批判がされるようになります。個人的に、『聲の形』の批判で最も多かったのが”これ”だと思っています。

これについては、個人の「”罰”に対する捉え方」によるのかもしれません。例えば、人によって「死刑の賛否」はキッパリ分かれますよね。それと同じように、イジメが許されるべきかどうかも人それぞれのように思えるのです。

そもそも「イジメの原因を作っているのは、加害者ではなく環境である」という考え方もあります。そうなれば、加害者だけでなく、学校という閉鎖環境を容認している大人の方々や、イジメを見ていたけど止めはしなかった傍観者も、責任があるのではないでしょうか。

感動ポルノなのでは?(聲の形・考察)

「『聲の形』は感動ポルノなのではないか?」という意見があります。感動ポルノとは「意図的に感動させる演出で、感動を煽ること」を指しており、『聲の形』が感動ポルノなのではないか、つまり御涙頂戴の作品なのではないか、という意見が出たのです。

特に『聲の形』の場合、障がい者やイジメという感傷的になりやすいテーマを採用し、実際に感動を煽るような演出も見受けられたことで、「『聲の形』は感動ポルノだ!」という批判がされるようになります。

これに関しては「感動ポルノが本当に悪いことなのか」という意見も含め、やはり個人の価値観によるのではないでしょうか。

 

『聲の形』の賛同的な意見(聲の形・考察)

『聲の形』の賛同的な意見としては以下が挙げられます。

・切り口が鋭く、先進的だった
・過去との向き合い方が現代的
・作品のクオリティが非常に高い

それぞれ解説していきます。

切り口が鋭く、先進的だった(聲の形・考察)

『聲の形』は障がい者やイジメをテーマにしたわけですが、これは非常に挑戦的であり、かつ先進的な試みだったように思えます。障がい者やイジメをテーマにしている時点で、批判が殺到するのは分かっていたはずです。それでもテーマにしたのですから、その点は一定の評価をするべきでしょう。

そして実際に、ストーリーの切り口が非常に鋭く、内容も先進的でした。現代特有の陰湿なイジメを事細かく描き切り、登場人物の心情描写もリアリティあるものです。そして綺麗事はほとんどなく、ひたすら苦い展開が続きます。それはアニメや漫画である以前に、どこか現代文学的な要素があるといえるかもしれません、

過去との向き合い方が現代的(聲の形・考察)

『聲の形』は最終的に、登場人物たちが過去の”イジメ”にしっかり向き合い、前を見つめるという終わり方をします。特に印象に残ったのは、被害者の西宮硝子と加害者寄りだった植野直花の関係性です。

通常、「被害者が善、加害者が悪」という考え方が一般的でしょう。しかし、植野直花はそれでも「硝子だって悪い部分はあった!」と考えて、「あなたのことは嫌い!」という意思表示をするのです。それなのに直花はこれからも硝子とは一定の関係を続けていく、という決断をします。

現在の人間関係は、「好きだから友達になる」という単純なものではありません。「嫌いだけどしょうがなく友達になる」という関係も普通にあるのです。今までのアニメはどこか、極端な人間関係しか描かれていなかったと思います。しかし『聲の形』は、善も悪も内包する複雑な人間関係を描き切りました。これがどこか現代的だったように感じられます。

作品のクオリティが非常に高い(聲の形・考察)

『聲の形』は、アニメ作品としてのクオリティが非常に高いです。同時期に『君の名は。』が上映されたので注目はされなかったものの、キャラの動きや演出自体は『君の名は。」よりも高いクオリティだったかもしれません。

また、『聲の形』は声優の演技力が際立った作品でもあります。特に聴覚障がい者のヒロインという非常に難しい役を担当した早見沙織、そしてイジメの加害者でありながら被害者にもなった主人公を演じた入野自由は、本作で非常に高い評価を受けたことは言うまでもありません。

同じ作者が手掛ける『不滅のあなたへ』も注目!(聲の形・考察)

『聲の形』の原作者である大今良時先生が手掛ける『不滅のあなたへ』も注目です。今までのポップカルチャーにはなかった全く新しい物語が展開されています。

現在、NHKでテレビアニメ化が進められており、TVアニメ2期の制作も決定されています。ぜひ視聴してみてください。

まとめ(聲の形・考察)

それでは本記事をまとめていきます。

・『聲の形』は聴覚障がい者とイジメをテーマにした作品
・賛否両論のあるストーリー、設定だった
・少なくとも、作品としてのクオリティは間違いなく高い

『聲の形』は、あまりにもエッジが効きすぎたストーリー・設定ということで、賛否両論ある作品となりました。しかし、作品のクオリティが高いことは間違いなく、現代アニメを代表する名作であるのも間違いありません。

果たして今後、『聲の形』のように障がい者やイジメをテーマにしたアニメが登場するのでしょうか。下手すると、ここ5年間は、障がい者やイジメをテーマにしたアニメは登場しないかもしれません。そう考えると、『聲の形』がどれだけ挑戦的な作品だったかが分かると思います。

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